こんばんは!
本日の座間地方は晴れ・・と思っていたら、どうも夕立があったようです。
午後4時から5時の間のほんの短い間だったと思います。
その時間はお弟子さんが来ていて、ぜんぜん気がつきませんでした。
大泉の夜はこちらより涼しくなるのが早いと思うので、綿毛布を持って行こうと干していたのが濡れてしまいました。
といってもビッショリというほどでもなかったので、お風呂場の乾燥機で乾かしました。
・・最近の私は歌の練習サボリ気味。
10月の発表会では歌うので、そろそろ歌の筋肉を戻さないと間に合わないと、ようやく重い腰を上げました。
昔の私はこんなんじゃなかった!
オペラやコンサートに追われていたってのもあるけど、リサイタルを定期的に開いたりと、練習の虫みたいなところがありました。
練習がおっくうになり始めたのは更年期で声が出なくなった頃からです。
ホルモンのバランスが崩れたせいで声が全く出なくなり、オペラの舞台を諦めざるおえず、生きる目的を失ったような時期がありました。
やがて声は復活しましたが、心はすっかりオペラの舞台を卒業していました。
さて何を歌っていこう?
私は何が歌いたいんだろう?
もともと歌好きだったからオペラ歌手になったんだろうし、だれもが立てるわけではない一流の舞台にソリストとして沢山立たせてもらいました。
オペラで役を演じ歌うのが好きでした。
コンサートでただ歌うより、オペラの役をやるのが好きだったのです。
・・
今日もお弟子さんが帰った後、レッスン室で楽譜を引っ張り出しあれこれ曲選びをしました。
楽譜を見ると我ながらレパートリーの広さに驚きます。
歌ったことさえ忘れている曲も多いです。
でも、どれもこれもすぐにちゃんと歌うことは出来ません。
特にロッシーニやヴェルディなんかは、ものによってはもう歌えないだろうなと思います。
若くて元気な喉だから歌えたのです。
チェネレントラのアジリタと呼ばれる早いパッセージは超絶技巧とも言えますが、全盛期の私は平気で歌えていました。
びわ湖ホールのこけら落としで歌ったヴェルディの「ドン・カルロ」のエボリ公女もかなりの難役ですが、歌いこなすことが出来ました。
カルメンのタイトルロールも何回もやらせてもらいました。
派手な役も多かったですが、私がいちばん好きなのは「蝶々夫人」のスズキ役。
多分35公演くらいは歌っています。
新国立劇場や藤原歌劇団の本公演で歌わせてもらったし、文化庁主催の移動オペラ劇場でも全国を巡業しました。
日本のオペラ界でひとつの役をこんなに沢山歌わせてもらえたのは奇跡に近いことでした。
ヴェルディの「椿姫」のフローラも当たり役で、こちらも30回i以上は歌っています。
いつか自分が出演したオペラを一覧表にしてみたいなあと思っています。
・・とまあ過去のお話はここまで・・
サンサーンスの「サムソンとデリラ」のアリアはわりと得意で、しょっちゅうステージに乗せていました。
今回久しぶりに<Mon coeur s'ouvre a ta voix>をさらい直そうと歌ってみたのですが、どうも気が乗りません。
ちゃんと歌えるのですが、どうもあんまり歌いたくないのです。
なぜ?
オペラアリアは体力を使うからだろうか? と思ったのですが、どうも違う・・。
オペラアリアはオペラ作品の一部にしか過ぎません。
音楽は素晴らしいのですが、「一部」を取り出して歌うのがしっくり来なくなっている自分に気づいてしまいました。
歌曲がいい・・。
歌曲は音楽や詩を一曲でのなかで完結させているのがいいんです。
若い頃はオペラ一辺倒で歌曲の世界感に興味を持てなかったのに、自分の変化にビックリポンでした。
歌で詩を語る。
老いの時期を迎えた声楽家にはピッタリだと思いました。
・・
お弟子さんと一緒のコンサートですので沢山は歌いませんが、音楽とともに詩を語るように歌えたらいいなあと思います。
それでは皆さん、お休みなさい!