こんばんは!
2018年も残すところ、あと一日になりました。
今日は大掃除の合間に「NHKクラシック倶楽部」の録画を見ました。
タイトルは「小山由美メゾソプラノリサイタル」
NHK主催のこのリサイタルは、今年の9月にハクジュウホールで催されました。
メシアンとラベルとプーランクは知っていましたが、他は日本ではあまりなじみのない作曲家の作品を取り上げた精力的なリサイタルでした。
彼女は芸大時代の同級生。ただし私は一浪なので1つ年上です。
当時芸大の教授だった畑中良輔先生のもとで受験時代を過ごした私たちは、大学に入ってからも「悪友」として親交がありました。
なぜ悪友かというと、彼女が私に話すのはいつも恋愛のことばかり、しかもお相手は男性だけでなく女性もいて・・同時に何人もの恋人と付き合っていて、恋人は優秀な人揃い・・田舎者の私からしたら全く別世界のお話で、そんな話しを好んで私にしてくる彼女は「悪友」としか表現出来ない存在だったのです。
実のところ、頭がよくて都会的で音楽的才能に溢れた彼女は、自分とはかけ離れた存在でした。
私の学年は優秀な人が多く、演奏家として活躍の傍ら半数近くは大学の専任教員になっていると思います。
由美はオペラ歌手として世界を股に掛けながら、ドイツのシュトゥットガルト音楽大学で教鞭をとっています。
他に二人の同級生が芸大の教授になり、愛知県立芸大の副学長をしている同級生もいます。
まあ、同級生自慢はこれくらいにして・・
小山由美さんのリサイタルに話しを戻します。
ドイツ人と結婚しドイツに住んでいる彼女は、風貌と体格がドイツ人のように大きく立派になっていました。
大学時代はスマートでスタイル抜群の彼女でしたが、見違えてしまった彼女に、食生活で人はこんなに変わるのかと感心することしきり・・・。
番組中インタビューで、
「マニアックなプログラムでのリサイタルを企画してもらえたことに感謝します。歌曲の世界は言葉が重要、そういう意味では語学に長けていなければなりません。演奏家は自分が信じるそれぞれの世界を、思ったとおりに表現することが大切と思います。歌曲の世界はオペラよりも難しい側面がありますが、詩を音楽で表現するときのちょっとした遊び(工夫)が面白い・・それが個性だと思います。」
というような事を話していました。
彼女のソルフェージュ能力は高く絶対音感の持ち主で、大学のソルフェージュのクラスが良い方からA.B.C.D.Eとある中で、Aクラスに属していました。
声楽科の学生はほとんどDクラス(もちろん私も)、出来ない男子生徒がEクラス・・Aクラスはバイオリンなどの弦楽器の人たちばかりだったと思います。
話しが逸れてしまいました。
・・リサイタルは素晴らしいものでした。
音楽的にも発声的にも・・芸術に捧げてきた彼女の人生を見た気がしました。
知らない歌ばかりでしたが、吟味されつくした表現は全てを超えて迫ってくるものがありました。
由美は学生時代、誤解されることが多かったと思います。
あらゆる意味で突出し個性的だった彼女を、理解できる人は少なかったのではないかと思います。
私もそう・・
今思えば、意識が進んだ人だったんですね。
彼女には及びもつかない人生でしたが、私も年を経て、彼女のことが理解できるようになりました。
数年前に彼女が帰国した時、電話で、
「直美のこと愛してるよ。話したいし会いたい、会おうよ!」
と言ってくれたのを、無碍に断ってしまった私・・
違う世界に住む「昔の悪友」に会っても話すことはないだろう・・とその時は思いました。
私は真の芸術家にはならなかった。。
でも私は、自分の純粋な思いに従って生きることを選び続けている。。
由美にも人生の様々な局面があったと思います。
「悪友」は私の中で「真友」に変わり、いま心の中で彼女を強く抱きしめています。
遠く離れた私たちは、この世で再び会うことはないと思いますが、こういう友もあるのですね。
由美、ありがとう!
感動をブログに書き留めます。
それではお休みなさい ☆ zzz ☆