NAOMI〜エメラルドグリーンのクレフ2

半農半Xを目指して。過去ログ2006~2013:http://blog.goo.ne.jp/n_aomi1214

ボードレールの一遍の詩に再会する・・

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こんにちは!

本日の座間地方・・午前中は曇っていて一時小雨がパラつきましたが、お昼近くになって晴れてきました☀☀

今日は久々の完全オフ!!

美容院でカットしてきました。

私はベリーショートにしているので、一ヶ月に一度必ずカットに行きます。

このスタイルは洗髪と日々のお手入れが楽で止められれません。

 

ところで、5月6日の門下の発表会の曲の準備を始めていますが、今回は久々にデュパルク作曲の「旅への誘い」を歌うことにしました。

この曲に出会ったのは芸大4年生の時でした。

当時、楽曲分析の授業で<フランス歌曲>を履修していました。

取り上げられていたのはデュパルクの作品でした。

デュパルク(1848-1933)はフランスの近代作曲家で、20歳から37歳までの16年間に14曲の歌曲を書き、この後1933年に亡くなるまでの48年間、一音たりとも作曲することはありませんでした。

わずか14曲の歌曲を世に出しただけで、作曲家が国際的な名声を得るということは、音楽史上まれなことでした。

神経症にかかり、自らの批判感覚が激しくなりすぎ、作曲できなくなったようです。

 

私はデュパルクの作品の中で特に「旅への誘い L'invitation au Voyage(詩:ボードレール)」が好きで、若い頃から折にふれ演奏しています。

その度に詩を原語と邦訳の両方でレポート用紙に書いています。(パソコンのキーボードで打つのでは意味がないので、必ず手書きします。)

詩を書き写すというのは、どんな歌を歌うときでも必ず行う作業で、これにより曲の理解と洞察が深まります。

今回、久々にボードレールの詩を書き写してみて、その深淵に初めて触れたような気がしました。

ボードレールのこの詩が私の心の深い所にある琴線に、ようやく共鳴したのです!

言い方を変えると、ボードレールの詩に共鳴するところまで、自分の感性が深まったと言えます。

この「旅への誘い」は恋人と共に逃れ住みたい、未知の「彼の地」への憧れを表現したものと言われていますが、私の受け取り方は少し違います。

ボードレールの心を受け取ったというよりは、詩そのものに書かれた自然の普遍性が琴線に響いたのです。

私が好きなのは、冒頭・・

       Mon enfant, ma soeur,      

  いとしい我が妹よ、
  Songe à la douceur       

  思い描いてごらん  
  D'aller là-bas vivre ensemble! 

  かの土地に行き、一緒に生きることを!
  Aimer à loisir,        

  心ゆくまで愛し合い
  Aimer et mourir       

  死ぬまで共にいよう
  Au pays qui te ressemble!    

  お前によく似た あの土地に!

そして、中ほど・・(ここが一番好きです!)

  Là, tout n'est qu'ordre et beauté,

  かの地にあるのは秩序と美
  Luxe, calme et volupté. 

  優雅さ、静けさと快楽

  
・・最近、老子加島祥造:訳詩)を読み返していますが、老子のいう「道=タオ」とは、宇宙や自然の摂理ではないかと思っています。

自然の一部である人間も自然の摂理に従って生きましょうよ・・ということなんだと思います。

自然は、秩序・美・優雅さ・静けさ・快楽そのもの・・

人間は人間が作り出した「秩序」ゆえに苦しいのではないか・・

人間が作り出した「秩序」は、本当は人間と調和していないんだと思います。

ただ自然の摂理に従って調和して生きる・・

自分の心の方向が変わり、出会いから40年たってようやく、ボードレールの一遍の詩の深さに触れることが出来た気がしています。


L'invitation au voyage - Charles Baudelaire

  Mon enfant, ma soeur,
  Songe à la douceur
  D'aller là-bas vivre ensemble!
  Aimer à loisir,
  Aimer et mourir
  Au pays qui te ressemble!
  Les soleils mouillés
  De ces ciels brouillés
  Pour mon esprit ont les charmes
  Si mystérieux
  De tes traîtres yeux,
  Brillant à travers leurs larmes.

  Là, tout n'est qu'ordre et beauté,
  Luxe, calme et volupté.

  Des meubles luisants,
  Polis par les ans,
  Décoreraient notre chambre;
  Les plus rares fleurs
  Mêlant leurs odeurs
  Aux vagues senteurs de l'ambre,
  Les riches plafonds,
  Les miroirs profonds,
  La splendeur orientale,  
  Tout y parlerait
  À l'âme en secret
  Sa douce langue natale.

  Là, tout n'est qu'ordre et beauté,
  Luxe, calme et volupté.

  Vois sur ces canaux
  Dormir ces vaisseaux
  Dont l'humeur est vagabonde;
  C'est pour assouvir
  Ton moindre désir
  Qu'ils viennent du bout du monde.
  - Les soleils couchants
  Revêtent les champs,
  Les canaux, la ville entière,
  D'hyacinthe et d'or;
  Le monde s'endort
  Dans une chaude lumière.

  Là, tout n'est qu'ordre et beauté,
  Luxe, calme et volupté.

  

それでは皆さん、良い一日をお過ごしください!